Tonight is the night.

はやぶさ座

ちょっとした会話

 美容院やネイルサロン、職場、いろんなところでちょっとした会話、世間話みたいなものが求められる。そういうちょっとしたコミュニケーションが上手い人に憧れるお年頃だ。

 エスカレーター式に進学し、青春をインターネットに捧げてきたため、狭く深く長い付き合いか、嗜好の近い人と脳直で飾らない表現(Twitter訛りの婉曲表現)で会話することばかりで、3次元ではじめましてから友達をつくることもぜ〜〜んぜんないまま子供と呼ぶには差し支えがある年齢になってしまった。

 

 ゴリゴリ陽キャのとんでもない距離の詰め方とも、年上の人によくあるちょっと図々しい感じとも違う、なんかそういうのが上手い人というのが世には存在するんだな〜と気がついて、羨ましいと思うようになったのもかなり最近のことだ。

 私はまぁ確かに友達は少ないけど、知らない人と会話するのを憂鬱に思うタイプではないし、波長が合うなら是非仲良くしてほしいと全人類に対して思っている。でも、アイリストさんや、職場のお姉さまとちょっと仲良くなれたな!と思える感じのコミュニケーションができない。人生をインターネットに溶かしすぎて、人生をインターネットに溶かしていない相手と仲良くなることができない。

 

 「ちょっとした会話」を振ってくれる人が聞くことは、最近何してますか、何が好きですか、普段は何されてる方なんですか。だいたいこの3つだけ。

 これらの質問に対して、ガチの日常をモザイクかけずに正直に言える人だけが私を罵ってもいい。

 私がぼかさずに答えると、だいたい1日4時間pixiv、3時間Twitterを観てる、あとの大体の時間はバイトしてるか寝てる。そんなこと言える相手ではない、キモータRADIOをお届けして乾いた笑いをされたくないぐらいには理性が残ってる。欲を言えば、ちょっと感じのいい人だったなと思われたい。

 

 どうしたら、「今日はちょっと話弾んで楽しかったな」と思ってもらえるのだろうか。

 話を振ってくれる人は私が学生だと知れば、「今はキャンパスに登校してるんですか?」とか「サークルとか入ってますか?」みたいなことを聞いてくれる。緊急事態宣言とかまん防が出ていなければ週5で登校するし、サークルは入ってない。こっからな〜〜〜〜〜にも広がらない。広げられない自分の責任。大学で友達がガのマ(ガチのマジ)で1人もできてないので特に語るべきことがない。

 

 「入学式とか新歓の時期が丁度コロナうんぬんで活動ががっちり規制されてた頃だったのでタイミング逃しちゃって〜〜〜」、「授業はオンラインの方がいいです授業開始までに目が覚めてればいいから」、、、、

 「最近かあ、春休みなんですけど全然何もしてないですね〜〜、、、寝て起きてバイト行って、、、旅行とか言ってる友達SNSで見るといいなって思うけど、計画とか準備のこと考えると実行するとこまでいけないんですよね〜」 

 「YouTubeとかインスタの別に面白いわけでもないショート動画ずっと見ちゃいません?そんなことしてないで早く寝たほうがいいってわかってるのにね、、、、ほんと、、、、、」「YouTuberとかはそんなにて感じです、犬のトリミング動画とかが多いかな、あと料理動画。料理しないんですけどねw」

 「Netflixは一話完結アニメばっかり観てます、長いやつ体力いるからしんどいっていうのが最近わかるようになってきた。おすすめあります?ああ、やっぱ韓ドラ人気ですよね〜〜〜全然観てないんですよ、え〜〜面白いなら観てみようかな〜〜〜」

 直近数ヶ月の間でちょっとした会話の機会は両手の指じゃ足りないくらいにはあったが、その内容はこれで全部と言っても差し支えない。

 

 なぜ話が弾んだ感じがしないのか、一番大きい要因は私が相手のことを気になってないことだ。質問返しをしないといけないことはわかっている。

 ただ自分の性質としてずっとある、割と気にしいな部分が質問返しを邪魔してきた。

 年齢・出身・通ってる大学・好きなもの、そんなパーソナルなこと聞かれて気分を害さないか、答えにくいことを言わせるくらいなら聞かないほうがいいと思ってしまうのだ。

 あともう一つ言い訳をするなら、聞いたら覚えてないと悪い気がするから聞かないようにしてる。何回も誕生日や年齢を聞いてくるようなやつだと思われるくらいなら、全然知らないほうがマシだと思っている。

 

 きっと次にネイルを変えるときも、YouTubeのShortsの全然ピンとこないあるあるネタみたいなのを見るの、辞め時がわからなくて時間吸われちゃいますよね、という話を私はするだろう。

 でも、勇気が出たら聞こうと思う。ネイリストさんの好きなYouTuberを、、、